“推し具合”を学ばせて下さったおばさま(2017年 48歳)(2017年 48歳)

珍しく無性にプリンが食べたいのである。
しかも、添加物少なめのものが……。

しかし、只今絶賛仕事中(@自宅)。
片道20分かかる駅前洋菓子店に行くのは、時間的に厳しい。
なので、最寄りスーパーのプリン売り場へ直行し、早速「商品の原材料名」を熟読し始めたのだった。

私の加工食品の買い物は、全てここから始まるので時間がかかる。
今回はスイーツなので、添加物だけではなく糖類の種類でも選びたいところだ。

そこへ突然、隣からお声がかかった。
「これ、美味しいのよ!食べてみて!」
ハッとして視線を移すと、声の主はおばさま。指は「とあるメーカーの4個入りプリン」をピッとさされていた。

私は瞬間「マネキンさん?」と思った。
でも、レジカゴを提げておられるし、一般のお客さんのようだ。

「え……」
謎の熱量に、たじろぎ固まる。
しかしおばさまは、一切意に介することなく、間髪入れずおっしゃった。
「この間ね、食べてみたら美味しかったのよー!」
「そうですか……」
淡泊に返したのに、一向に去ろうとせず、むしろ私を熱く見つめるおばさまの圧がとにかくすごい。

『そこまで推すなら、じゃあ一応……』
私はそのプリンを手に取り、原材料をチェックした。……まあ、気になる添加物や糖類はそんなに入っていない。
『うーん、だったらまあいいか…』
いつもなら、おススメだからとホイホイ買うことはないが、この時は何となく成り行きに任せることにした。

「じゃあ、これ買ってみます。ありがとうございます」
一応礼を告げ、レジかごに商品を入れると、おばさまは非常に満足したご様子で「美味しいから大丈夫よ!」と太鼓判を押し、ようやく去って行かれた。

「……………」
いや~この商品への情熱たるや!
と言うか、人に対するコントロールもすごいな。
今回はたまたま自分の希望に合っていたから良かったが、あの方がお姑さんだったら、自分を通すのが毎回大変そうだ。

自分の“推し”を誰かにおススメするのは、相手の世界を広げる側面もあるので良いことではあるが、あくまでその度合いは軽やかであることが好ましいのでは?と思う。
ヒントを与えるくらいでいいのだ。相手の心に刺さり切ったかどうか、影響を与えられたかどうかまで確かめなくてよい。

何故なら、度が過ぎると、「自分と一緒の感覚になって欲しい、一緒じゃなきゃ許さん!」という精神的依存と、「分かってくれる人は大好きだが、分かってくれない人は嫌い」という二元性が生まれるからだ。
そしてそれらは「ああ、誰も自分を分かってくれない、何でだ!」という自己憐憫にまで至り、どんどん自分の世界観を狭く苦しくし、とりまく世界もややこしくしてゆくのだ。……我が母のように…。

人の好みは自由であるべき。多様性が魅力なのだ。
それを許すには、まずは自他に対する自由で柔軟な許容力、つまり真の心の強さ・真の心の自立が肝のように思う。
……などと、レジに並んだ私の脳は熱く論じていたが、同時に問いとなって自分自身にも投げかけられた。

途端にギュッと縮こまる胸。……苦い思いが込み上げた。
それはきっと、多少なりとも私にもそういう部分があったということ。
けれど、そこを認めたことで、思考グセはこれから大きく変わっていくだろう……。

私はこの気づきがとても嬉しかった。
だから、変化のきっかけを与えて下さった、おばさまとの出逢いには感謝だったのである。


おばさまイチオシプリンちゃん。
普通に美味しかったが、感動までにはちょっと及ばず。
 しかし、このプリンのおかげで貴重な学びを得ることが出来た。 



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