国民的アイドルグループを印象づけてくれたバイト先の女の子(2012年 43歳)

◆前置き:かなり前のお話なので、現在に比べ内容はちょいちょい古いですし、国民的アイドルグループもその後、状況が変わっていますが😅、バイト先の女の子への感謝がメインですので、その点はご容赦を😌。


大人気の国民的アイドルグループ「A」。
しかし、当時私は彼らのことをあまりよく知らなかった。

もちろん、メンバーみなさんのお名前などは存じ上げていたが、年齢が離れているのもあったり、その頃は割と洋楽に傾倒していたりして、失礼ながら興味の対象になりにくかった。
なので、まさか彼らが「怒涛の人生大暗黒期」を支え続けて下さる、かけ替えのない存在になろうとは1㎜も思っていなかったのである。

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彼らを深く知るきっかけを与えて下さったのは、とある女性だ。
私より10歳は若かったと思う。おそらくAのみなさんと同年代であろう。
彼女とは5日間の単発アルバイトで初日に出逢い、偶然にもほぼ毎回席が隣になったのだった。

ちなみに、私は訳あってそのアルバイトを急遽行うことになった。
場所は都内。仕事内容は、前年に起こった東日本大震災に関してのデータ入力で、社内の研修室的大空間にて、毎日50名ほどのアルバイトさんと共に作業にあたった。

入力データは完全なる個人情報だった。
なかなかに重要なもので、当然ながら正確さを求められた。しかも、急ぎの案件だったようである。
……にもかかわらず、入力がスムーズに行えないこと甚だしかった。

理由は、以下。
*データ原本が、各個人の手書き文字だから解読しにくい(←これからは読みやすく書こうと肝に銘じた)
*地名や氏名で度々ひっかかる、見たことのない「表外漢字」を、都度「検索しにくい検索システム」で入力しなければならない
*入力画面が妙に複雑

作業は、1枚終えるのに相当な労力を消費した。
更に、会社さん側が設けた制限時間と謎の競争制度により、我々アルバイトは気力も体力もどんどんしぼみ、日に数回設けられたOA休憩になると、みな魂が抜かれたようにぐったり……。
単発とはいえ、思いのほか厳しい現場となったのだった。

そこで知り合ったのが、先述の女性である。
とても控えめでちょっぴり心配性な方であったが、作業中度々彼女の質問に答えたり、一緒にランチをとったりしているうちに少しずつ打ち解け、「Aの大ファン」であること、そして「仕事を一生懸命やっているけど、続けていきにくい」ことなどをチラと教えて下さったのだった。

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さて、そんなこんなで巡り来た、アルバイト最終日。その昼休憩。
お弁当持参の彼女と外食する私は、別々に昼食をとることになり、「じゃあ、(最終日だし)せっかくだから仕事帰りにお茶を」という話で一旦お別れした。

だがしかし、休憩終了間際、彼女は私を見つけるや否や慌ててパタパタと駆け寄り、開口一番におっしゃった。
「すみません!今日は、Aの番組がある日だったのをすっかり忘れてました!仕事が終わってすぐ帰らないと間に合わないので……お茶はすみません!!」

その時私は、単純に『録画を見ればいいのでは?』と絶句した。
ところが、続けて詳しくお話を伺うと、そんな単純で生半可な視聴態度で臨むものではないことを知る。
そう、彼女にとって、彼らは心底生きがい。日々どんなに辛い事があっても、彼らの番組を見ると「また明日から頑張ろう!」と立ち上がれるとのことだった。

「彼らがいるから生きていけるんです!どうしてもリアルタイムで見たいので、すみません!!」
「……………」
初めて露呈された、彼女のほとばしる熱量と凛とした力強さを前に、私は少々圧倒され、再び沈黙した。……が、それでも思う。
『そこまでのことってあるんだろうか?』
……いや、お茶のキャンセル云々というより、「彼らをリアルタイムで見るか見ないか」で、そんなにも人生が左右されてしまうのかということに驚き、瞬時に理解できなかったのである。

とは言え、ただらぬ彼女の必死な表情に、我が脳は『なるほど!そこまで生命維持の源となっているのならば、是非オンタイムで見ていただかねばなるまい!』とすぐさま思考処理。快諾した。

すると彼女は、ひたすらに恐縮しながらも、笑顔かつ真剣に、「是非一度、彼らの番組を見てみてください!是非!」と猛プッシュ。
その後のOA休憩では、堰を切ったかの如く、彼らの素晴しさを情熱的に語って下さった。

……その姿は今までになくキラキラして、とても幸せそそうで……私はなんとなくホッとした。
こうして、アルバイトはなんとも不思議な感じで終了したのだった。

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数か月後。「そういえば、彼女が人生をかけているAって、一体どんな子達なのか?どれどれ……」と思い立ち、ようやく番組を見始める。

最初は漠然と見ていた。
しかし、回を重ねるごとに「彼ら独特の自然体な雰囲気と仲の良さ」にどんどん癒されていることに気づき、見事にハマる。

更に半年後。とにかくAのみなさんへの感謝が止まらない。
「彼らが楽しそうにしてくれているからこそ、怒涛の人生大暗黒期でもこうして自分を保っていられる。なんてありがたい存在なんだ…!」
もはやみなさんは、満身創痍な私を支える神仏と化していた。
……彼女のあの時の力説が、骨の髄まで染み渡る……。

……ふと思う。
「もしかしたらこれって、この苦境を乗り越えるための、某《なにがし》からのプレゼントだったのかもしれない……」

それは“ひょんなことからあのアルバイトをせねばならぬ流れになった”ことに始まり、たまたま毎回彼女と隣り合ったこと、そしてその彼女がAの印象を強烈に残して下ったという、絶妙な導きの道。
もしそうだとしたら、人生とはなんとありがたいことか!
控えめな彼女が「あの時あの場の流れ」に迎合せず、ご自身の意思を貫き通して下さった勇気に感謝。そして尊敬なのである。

……彼女、元気に生き抜いて下さっているといいな……。




余談その1:一見不運だと思う事にも向き合う大切さ

正直、アルバイトをしなければならなくなった時、正直「なんで……!?」と成り行きを呪った。
けれど、腹を決めて懸命にやっていたら、その先にはちゃんと後々の自分に必要なものが準備されていた。

「流れが来たら、なんでもチャレンジしてしっかり向き合ってみるものだ」
ということを、この一件で学んだ。



余談その2:絶妙なお導きはもう一つ?

実は、アルバイトの勤務日数は当初8日間の契約だった。
なのに、3日も減ったその理由は「原本到着の遅れ」
それを4日目夕方に告知され、急遽6~8日目は無くなったのだ。

……で、なにが言いたいのかというと、8日目にラストを迎えていたら、おそらくAの番組を見る必要のない彼女とそのままお茶に行き、このような流れにはならなかったであろうと言うこと。
彼女の強い感情の発露に触れることもなく、Aに関してそれほどの印象も残らずに終わっていたかもしれない。
そう思うと、より不思議な運命パズルを感じたりするのだった。



余談その3:同年代のAに対する認知度

毎日のようにAのみなさんの動画を見て、かなり知識も深まってきた頃。
同年代の友人知人に「今、Aにはまってるんだ~!!」と誇らしげに話したところ、「え、今頃!?」「え!やっと?私は▲▲のファンで、実家のお店に行って来たよ!」などと驚愕された。

え…そうなの!?みんなすでに好きだったの!?知らなかった……。
……さすがは国民的アイドルである。



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